うつ症状の裏に別の原因が隠れているケース 双極Ⅱ型障害診断には「軽躁」の確認が必要

頭の中が真っ白になり、作業を進められず追い詰められた

 「頭の中が真っ白になり、物事の整理や順序立てができなくなり、そんな状態で毎日出社を続けていたが、作業をうまく進めることができずに、追い詰められた気分に陥った」と、当時の状況を振り返ります。

 こうした状況であったため、Aさんは先輩に勧められて某クリニックを受診。そこで「うつ病」との診断を受けました。出社しても仕事が手につかないため、3カ月間、実家で静養して復職します。しかし、復職直後にインフルエンザにかかって会社を休んだことが契機となり、「緊張の糸が切れた」ようにインフルエンザが治った後にも会社に行けず。その後、2回目の休職に入ることとなりました。

 2カ月後、会社の産業医の「復職支援プログラムがある」との勧めで、当クリニックを紹介されて来院。このときが私と彼との初対面でした。

 「朝から憂鬱であり、午後になると多少気分が上向くものの、過眠傾向で手足が重く、全身の倦怠(けんたい)感がある状況で、はじめの2カ月間はほとんど自室を出ず、寝たきりで自室に引きこもる毎日だった」と話し、通院も途絶えがちで、前医で処方されていた抗うつ薬も本来は1日に3回服用するところ、1~2回程度しか服用していなかったと言います。

※ 注釈:ここから本文中に「赤い文字」と「青い文字」の部分が出てきます。

 「赤い文字」は、うつ病と診断された人の行動とは思えないような「気分が高揚している状態の行動」(軽躁状態:けいそうじょうたい=軽く気分が高揚している状態)を示し、「青い文字」はそうした「軽躁状態」があることを確認したため、治療薬を変更した内容です。

  • いつ、どういう行動が軽躁状態だったのか
    本文中、赤い文字の部分が「軽躁状態」
  • 軽躁状態を確認して以降、治療薬をどう変更したか
    本文中、青い文字の部分が「軽躁状態があることを確認して治療薬を変更した内容です。

軽躁状態が有るか無いかによって、疾患の診断は変わり、薬も変わります。

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