幼少期からの発達障害に双極Ⅱ型障害が合併するケース増加中。対処の鍵とは?

幼少期から小学校時代

忘れ物が多く、かんしゃく持ちでケンカばかり。でも成績は良かった

 小さい頃から失くし物や忘れ物が多く、スケジュール管理が苦手で、何から始めるか優先順位を付けることがうまくできなかった。母親によると、感覚が過敏で、洗濯機が回っている音を聞くだけで泣きやまなくなり、風が顔に当たっても泣き出すので、風の強い日は外に連れ出せない子であったという。よく泣いたり、怒ったりしていたので「かんしゃく持ち」とも言われていた。

 小学校に入ってからはケンカが多く、気に食わない子がいると、力でねじ伏せていたので、女の子の友達は一人しかいなかった。成績表にはずっと「口より先に手が出る」と書かれていたが、テストは、いつも一番早く解き終わっていた。その一方で、忘れ物が多く、忘れ物をしない日がないほどであった。

中学から高校、大学時代

授業中はほとんど寝ていたが、成績は良かった。勝ち負けにこだわった

 中学に入り、やっと女の子の友達ができるようになった。授業中に眠気が出て、耐えられずに寝てしまうこともあった。この傾向は高校に行くとさらに強くなり、授業中、ほとんど寝ていたという。

 一方で、こだわるところが出てきて、トランプで負けるとケンカになるほど勝ち負けにこだわるようになった。大学では授業にはほとんど出席せず、アルバイトばかりしていたが、必要な単位数を計算して出席し、ぎりぎりで卒業した。

現在

新しい人間関係が苦手、思いつくとすぐに他のことをやり始めてしまう

 現在は好きな芸術関係の仕事をしているが、新しい人間関係に入るのは苦手。また、何かしている時でも、他のことに関心が向くとすぐにそちらをやり始めてしまう。そのため、朝の出勤支度の際は、「このタイミングで行動しないと遅刻する」と、わかるように、「起床時、食事時、化粧時」ごとにアラームを設定している。

 このように、仕事中であっても別の考えが浮かぶと、そちらを始めてしまって脱線してしまう。片付けは、始めれば部屋をとことんきれいにするが、一旦汚れると、どうしたらよいか分からなくなる。誤字脱字は1回チェックしただけでは気づくことができない。思い起こせば、小さい頃から「詰めが甘い」と言われることが多かった。

 計画は立てられるが、先延ばしにすることが多く、基本的にギリギリになるまで手を付けない。3人以上で会話をすると、自分への質問に気づかないことが多く、耳からの言葉の情報はうまくキャッチできていないと思う。

気分が落ちている時もあるが、一転して気分爽快、元気すぎる時期も

 そして、ここ数年は思考が止まり、他人の話が頭に入ってこないことが多いと気付いている。活動できている状態もあるが、気分が落ちている時は身体が鉛のように重く、何もできない状態となるという。

 その一方で、そのような時期が1、2週間続くと、今度は一転して元気な時期が来て気分が爽快になり、衝動買いもする。おしゃべりになり、周囲からも「元気すぎる」と指摘されることがある。活動的な状態は数日から1カ月くらい続く。このような気分の波は1日の中で上下することもある。このため、ある大学病院に2年ほど通ってみたが、なかなか合う薬がなく、通院は途絶えた。

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