適応障害(適応反応症)と診断され休職 医療リワークを利用して復職へ

同じ苦しみを知っている仲間の存在が救いに

 実は、当クリニックの医療リワークの大きな役割がここにあります。それはプログラム参加者である患者さん同士が、互いに助け合うということです。

 眠れない、意欲がわかない、気分が落ち込んで何もできないといった「うつ」の症状が現れると、健康で元気だった頃の生活は一変します。うつむくことしかできず、ひたすら、つらい。それは突然、出口のない暗闇に放り込まれたような感覚だと言います。

 そんなつらい毎日を送っていた患者さんたちですが、当クリニックを受診して、医療リワークに通い始めると、今度はまた「世界が一変した」と話します。

 それは、プログラムに参加している、ほかの利用者の患者さんたちとのコミュニケーションによるものでした。初めてプログラムに参加する患者さんは、「うつ」の人が集まっているプログラムに「一体、どういうところなのだろう?」と警戒心を持つようですが、実は、プログラムに参加して、最初に感じるのは「解放感」であり、また他の利用者の「やさしさ」だと言います。

 誰にも分かってもらえないと、あきらめていた「うつのつらさ」も、リワークプログラムに参加すれば「ああ、それ、つらいよね」と、共感してくれる仲間がいる。それが、患者さんたちの大きな喜びになり、安堵感につながります。

 同病の仲間がいて、自分のつらさを理解してくれる。そんな仲間の存在に助けられ、利用者たちは、顔を上げ、前を向き、新しい次の一歩を踏み出す勇気をもらうのです。

 この“痛みの共有感覚”は、同じ「うつ」の症状を経験している者同士ならではの絆となり、「利用者同士がお互いを親密に感じる」ことにつながります。そして、家族にさえ言えなかった「うつの、つらさや悩み」を理解し合える仲間との出会いは、独りで悩み、苦しんでいた日々からの解放でもあるのです。

看護師・保健師・臨床心理士などのスタッフが見守る中で

 プログラム参加中の利用者を見守っているのは、クリニックのプログラム・スタッフたちです。スタッフは全員、看護師、保健師、臨床心理士などの資格を持ち、常にプログラム参加中の利用者に目を配り、急な体調変化を起こしている参加者がいないか、利用者同士のコミュニケーションはうまく取れているか、プログラムを進めていく上で、参加者が困っていることはないかなどに、注意を払っています。

 医療リワークでは、主治医が診察室で患者さんの病状について診察を行うだけでなく、スタッフが、プログラムに参加する利用者の健康状態を確認するため、リワークプログラム自体が「診察と診断の場」になります。

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