教えて、カレー沢薫さん!大人の発達障害由来の困りごとは、なぜ起こる?

精神科医も正確には分かっていない!? 「障害」と「困りごと」の因果関係

 現在、漫画誌「月刊スピリッツ」(小学館)に、ご自身の発達障害についての漫画を「なおりはしないが、ましになる」という絶妙なタイトルで掲載している、漫画家のカレー沢薫さん。

 発達障害の人は、苦手なこと、困りごとがある一方で「突出して得意な分野がある」とよく言われますが、まさに、カレー沢さんは漫画のみならず、数多くのエッセイ連載を書籍にまとめて出版し、大人気を博しています。

 また一方で、発達障害の人には障害由来の苦手なこと、不得意なことがあります。ひとくくりに発達障害と言っても、その障害の特性によって「苦手なこと、不得意なこと」は違います。今回はこの障害と困りごとの因果関係について、カレー沢さんに語っていただきました。

 例えば、
●「注意欠如・多動性障害(ADHD)」の場合
「不注意」「多動性」「衝動性」といった特性があり、忘れ物や失くし物が多く、また、落ち着きがなく、一つのことに何時間も集中して作業を行うといったことは苦手です。

●「自閉症スペクトラム障害(ASD)」の場合
社会性や想像力に偏りがあり、場の空気を読むのが苦手、人とコミュニケーションを取れず、孤立しがち。人間関係を築くのも苦手で。こだわりが強く、働き方を柔軟に変えるのが難しいという特性があります。

なぜ起こる? 障害由来の「悩みごと」「困りごと」

 そして、発達障害の患者さん達を診察している精神科医にも「どうして、その困りごとが現れるのか」、障害と困りごとの因果関係がハッキリわかっているわけではありません。

 そこで、ご自身の困りごとを連載漫画の中で、わかりやすく伝えているカレー沢さんご本人に、今回は、まずADHDについてお聞きしました。

<この記事に掲載されている主な内容>
・カレー沢さんの3つの困りごと:不注意・衝動性・想像力不足

・【ADHD】「不注意」からくる困りごと4つ
 (1)ついよそ見をしてしまう (2)片付けられない
 (3)気がそれる (4)スケジュール管理ができない

・【ADHD】「衝動性」からくる困りごとも4つ
 (1) 思ったことをすぐに口にだしてしまう
 (2) 頭の中がいつも騒がしい/脳の落ち着きがない
 (3) お金の使い方が激しい (4)ネガティブに考えてしまう

 ここでは当クリニックの五十嵐良雄医師が、日経BPのWebサイト「日経グッデイ」で連載していた記事を日経BPの許可を得て掲載しています。

自分の困りごとを、漫画にわかりやすく表現しているカレー沢さんに、尋ねてみました。それ、どうして起こると思いますか?

第17回 発達障害の困りごとを当事者に尋ねてみる
2023/1/31 五十嵐良雄=精神科医・東京リワーク研究所所長

 発達障害の人には「注意力が足りない」「落ち着きがない」といった、障害由来の「困りごと」があります。でも実は、どのようにしてそれが現れるのか、その人の「障害」と「困りごと」との因果関係は、精神科医にも正確にわかっているとは言えないのが実情です。

 前回に引き続き、漫画家で発達障害のカレー沢薫さんに「どういう困りごとがあるか」、「それは、どのようにして起こると思うか」を尋ね、語っていただきました。

 障害の特性は人によって違い、困りごともそれぞれ異なります。ですから、ここに挙げる内容が、すべての発達障害の皆さんに当てはまるわけではありません。それでも、同じような困りごとがある方が「なるほど!」と納得できたら、自分なりの対処方法を探せるかもしれません。

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 私のクリニックには「成人の発達障害」の専門外来があり、診察時には患者さんから「こんな困りごとがある」という話をいつも聞いています。しかし、その困りごとが「どのようにして起きると思うか」というところまでは、診察の中で、しっかり聞く時間はなかなか取れず、また、ご本人もそれを説明できるほど障害について明確に理解していないことがほとんどです。

 漫画家で発達障害のカレー沢薫さんはマンガ『なおりはしないが、ましになる』(以下、「なおまし」)の中で、自分の「困りごと」を、とてもわかりやすく描いています。そこで、カレー沢さんご本人に、なぜそうした困りごとが起きるのか、その困りごとが起こるプロセスを、どうとらえているかをお尋ねしました。


1つのことしかできない、相手の顔を覚えられない、空気が読めないなど、長年の悩みの原因は発達障害によるものだった。2021年に続き、発達障害について、笑って学ぶマンガ第2巻(右)を2022年小学館より発刊

3つの困りごと:不注意・衝動性・想像力不足

Dr.五十嵐 カレー沢さんはマンガ「なおまし」第1巻で「困りごと」を、いくつか描かれていますが、それらを大きく分類すると、「不注意」、「衝動的に行動してしまう」、「想像力が足りない」の3つに分けられます。

 この「不注意」と「衝動的に行動してしまう」という2つはADHD(注意欠如・多動性障害)の特徴であり、「想像力不足」はASD(自閉症スペクトラム障害)の特徴です。

ワンポイント解説
 カレー沢さんは発達障害の診断のために当クリニックで検査を受け、その結果、ADHD(注意欠如・多動性障害)と、ASD(自閉症スペクトラム障害)の2つに当てはまることがわかっています。

 それぞれ具体的な特徴は以下の通りです。

•落ち着きがなく、不注意が多い。片付けが苦手
ADHD(注意欠如・多動性障害):不注意、多動性、衝動性が見られ、落ち着きがなく失くし物などが多い

•人とうまくコミュニケーションが取れず、孤立しがち
ASD(自閉症スペクトラム障害):コミュニケーションの取り方、社会性や想像力に偏りがある。空気を読むのが苦手

  ※発達障害診断のための検査についてはこちらをご参照ください。

 「なおまし」マンガの中に登場する困りごとについて、まずはADHD由来のもの=不注意・多動性・衝動性について、それぞれ、どのようにして困りごとが起こるのか、カレー沢さん自身がそのプロセスをどうとらえているか、お聞きします。

 「ADHD(注意欠如・多動性障害)の困りごと」には、不注意と多動性、衝動性といった特徴があります。

※不注意=注意力が足りない、多動性=じっとしていられない、衝動性=思いついたら行動してしまうことを表します。

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