うつの人の中に「発達障害」が多いと気付いた

■不適応か減少

 その「不適応」にどう対処すればよいか? 医療関係者が「○○の時は△△すればよい」と一方的に伝えるのでは十分に対処しきれない。働くビジネスマンだから理解し合える「不適応」もある。患者同士が日々ぶち当たる「不適応」について経験や知恵を共有し、乗り越える術を身につけていくのだ。

 各回ごとに「空気を読む」「段取りを組む」「情報を整理する」などテーマが決まっている。前半1時間半は心理士ら専門家の解説、後半1時間半は患者同士7~8人が輪になっての話し合いという構成。前半で疾患についての理解を深め、後半で先に述べた「不適応を乗り越える具体的な術」を学ぶ。継続して受けることで「対人関係などのトラブルが減った」と話す患者は少なくない。

 発達障害においてリハビリテーションプログラムが占める役割は大きい。発達障害は発症メカニズムが解明されておらず、決め手となる治療法がないからだ。成人のADHDは2種類の薬が承認されているものの「これで治る」というわけではなく、アスペルガー症候群には薬がない。

 「まずは本人、そして周囲が発達障害の特性を理解し、正しく対応することが、発達障害による不適応の解消につながります。生きづらさを感じる生活上の悪循環を断ち切れば、うつ病などの二次障害や併発を避けられます」(五十嵐院長)

 なお、「メディカルケア虎ノ門」のリハビリテーションプログラムは治療の一環なので、同クリニックの発達障害専門外来の受診が前提。初診は2時間ほどかけて面談や心理テストを実施するため、健康保険適用の診察料に加え予約料1万円がかかる。それ以外は、プログラムも含め、保険適用だ。※1

《成人の発達障害とは》

 成人の発達障害にはアスペルガー症候群をはじめとする自閉症スペクトラム障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、特定不能の広汎性発達障害がある。成人になってからわかる発達障害では、軽症のアスペルガー症候群とADHDをどちらも“薄く”持ち併せているケースが珍しくない。

 アスペルガー症候群ではコミュニケーション、社会性、想像力の問題が見られ、ADHDでは不注意、多動性、衝動性が見られる。

出典:日刊ゲンダイヘルスケア 2017年11月22日公開記事
大人の発達障害に効果 リハビリプログラムを実施医が解説
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/218096
(株)日刊現代の了承を得て掲載しています

 

※1 この記事は2017年当時のものです。当クリニックの現在の「大人の発達障害専門外来」については下記リンク先をご参照下さい。

●メディカルケア大手町 大人の発達障害外来
https://www.medcare-tora.com/cms/clinic-adult/

(まとめ:福井 弘枝=編集・ライター)

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