多くの医療現場で実績あり、ストレス対策に効く認知行動療法とは?

具体的な事例を書き出すと理解しやすくなる

 それでは具体的に、ストレスを感じた「ある瞬間」を切り出してみます。

 例えば、あなたには、日ごろから苦手に感じている人がいるとします。仮にAさんとしましょう。Aさんは何かというと人の悪口を言うので、一緒にいると、その悪口を聞いているのがつらくなり、また「この人はきっと私の悪口も言っているに違いない」と思うようになり、あなたはAさんを苦手に感じるようになりました。

(1)状況 ストレスを感じた「ある瞬間」の時の状況
 ある日、あなたが会社の休憩スペースで一人、お茶を飲んでいると、同僚Aさんがやってきて、同じ部署の上司と後輩の悪口を言い始めました。その時、あなたの頭の中にはどんな考えが浮かぶでしょう?

(2)認知  あなたの頭の中に浮かんだ考え
 「またか! どうしてこの人は人の悪口ばかり言うのだろう。聞きたくない。きっと私の悪口も言っているだろう。ああ、早く逃げ出したい!」

 上記のすべてが、あなたの認知=頭の中に浮かんだ考えやイメージです。

(3)頭に浮かんだ考えの、気分や感情の強さを数字で示す
 あなたの頭の中に浮かんだ考えを書き出し、また、その気分や感情の強さを、最大100%としたら、どの程度に当たるか、数字で示します。

 この時の気分を表現すると「不快100%」「イライラ90%」「不安50%」といった言葉で表せます。

(4)身体反応  そのストレスを感じた時に、どんな反応が身体に表れたか。
 ここでは、「いやな汗が出た」「知らず知らず、顔がこわばる」「息苦しい」という反応が表れました。

(5)「行動」 そのストレスを感じたあなたは、どういう行動をしたか。
 何も言えず、適当に相づちを打つ。目を合わさない。

 ここまでの内容を書き出して、自分の体験を整理してみましょう。


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 ストレスで苦しい時には、ストレスの原因に対して、同じ反応を繰り返す悪循環に陥りやすいものですが、こうして自分のストレス体験などを紙などに書き出すことによって、自分のストレス状況やストレス反応を、客観的に眺めて理解し、整理できるようになります。

 そして、その結果、自分のストレス体験の悪循環に気づき、そこから抜け出すにはどうするかという手立てを考えられるようになるのです。

 ここでは「会社近くの神社境内に行ってボーッとする」「学生時代の友人と電話で気楽なおしゃべりをして気分転換」といった対処=コーピングを見つけています。また、サポート資源を書き出すことで自分を支えるものがあることを確認できます。

 また、認知行動療法の中の技法の一つに「認知再構成法」というものがあります。これは「自分の認知=物事のとらえ方と、行動=どう対応するか」を見直して、必要に応じて自分の物事のとらえ方の柔軟性を高めるものです。

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