双極Ⅱ型障害は、ごく短い「躁(そう)」状態を見つけることがカギ

家族など身近な周囲が気づくカギは「症状が現れる順番」

 もう一つ、ご家族や職場の同僚、親しい友人など、本人の身近にいる周囲の人が「もしかしたら、この人は双極Ⅱ型かもしれない」と気づく場合もあります。

 この場合の着目点は「軽い躁状態」の後に「うつ」が来るという、症状が現れる“順番”です。

 双極Ⅱ型障害の「軽い躁状態の後にうつが来る」という特徴は、「エンジンを回し過ぎて焼き付いてしまって止まる」と捉えることができ、この逆はあまりみません。

 つまり、例えば家族に「うつ」の症状が現れた時に、その状態になる前の様子を思い出してみて、「そういえば少しテンションが高い時期があった」となったら、この人は双極Ⅱ型障害の可能性があるかもしれない、と考えられるわけです。

 この軽躁の期間は4日間程度と言われますが、もっと短い人もいます。短期間でも、このような状態があったら、双極Ⅱ型障害の軽躁状態である可能性があります。

 また、季節も関係しています。双極Ⅱ型障害の人は春先や秋口が苦手です。それは日照時間や気温、天候が関係しています。そういう環境の変化が人間の脳に影響を及ぼして、気分も変動させるということが知られています。

 春先や秋には「うつ」がよく出てきます。加えて、季節だけではなく、ほかにもストレス要因があります。職場も、個人的な生活にもストレスがあり、気分の波を大きくする要因となります。

 うつによる再休職を2度、3度と繰り返していて、上記のような軽躁状態がある場合は、次にお伝えする検査機器を導入している医療機関で光トポグラフィ検査を受け、改めて病気の鑑別診断をやり直してもらうよう、主治医に働きかけることをお勧めします。

脳の血流量の変化のパターンを測る「光トポグラフィ」検査

 病気の鑑別診断を補助する検査機器が「光トポグラフィ」です。これは頭に小さな端子を付けて、ディスプレー上に表示される文字を読んでもらうなど、脳を働かせている間の脳の血流の変化を測定するものです。メディカルケア虎ノ門では2014年に導入しました。

 これによって確認された、血流の変化のパターンによって、うつの症状が「うつ病パターン」「双極性障害パターン」「統合失調症パターン」「健常パターン」の4つのいずれかであるかが分かります。

 あくまでも病気の鑑別診断の補助とするための検査ですが、診断ばかりでなく薬の選択にも役立ちます。

光トポグラフィー検査・波形の違い

 頭に小さな端子を当て、ディスプレー上の文字を読み上げた後、「あ」で始まるものの名前を思いつくままに言い続けるといった課題を行い、その間の脳の血流量(ヘモグロビン濃度)の変化を測定してグラフ化することで、病気の特徴を見分けるというもの。血流量の波形変化パターンが病気によってそれぞれ異なることから、鑑別診断の補助として用いられる。ただし、残念ながら高額機器のため導入している医療機関は限られる。

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